パンドラの箱とは何?意味と使い方って?開けるとどうなる?
2017/10/10
「パンドラの箱を開けてしまった」
よくこういった言葉を聞くことがあると思います。
なんとなく雰囲気はわかりますが、そもそもパンドラの箱って何なんでしょう?
その意味って?またどういった使い方をするんでしょうか?
パンドラの箱とは何?
パンドラの箱はギリシャ神話が元
パンドラの箱=パンドラ(パンドーラ)という名前の女性に持たせた箱のこと。
これはギリシャ神話が元になっているんです。
ギリシャ神話に出てくる神ゼウスは、プロメテウスに人間というものを作らせました。
このときに作られた人間は全て男性で、まだ災厄というものが存在しない世界でした。
「人間に知恵をあたえるのはいいが、火を与えてはいけない」というゼウスの命令があったにもかかわらず、慈悲深いプロメテウスは人間に火を与えてしまったんですね。
これに怒ったゼウスはプロメテウスを拷問に処した後、今度は人間に災いをもたらすために女性というものを作りました。
「何てことを・・・アンタ神でしょ?」
拷問ってひどくね? しかも人間に災いをってどういう事?って気もしますが、まあ そこは神の考えですからね、誰も逆らえないわけです。
このときに作られた女性がパンドラ(パンドーラ)です。
美しさ、能力、好奇心をさずけられ、そして絶対に開けてはならないという箱を持たされたんですね。
好奇心が旺盛な奴に、開けては駄目な箱を持たせるなんて、あざといにも程があります。
パンドラが好奇心に負けて箱を開けてしまう
やがてパンドラはプロメテウスの弟であるエピメーテウスと結婚するのですが、ある日、箱の中身がどうしても気になったパンドラは、忠告をやぶり箱のふたを開けてしまいました。
「やっぱりね。そりゃそーなるわな。」
すると、言わんこっちゃない、中から悲観、不安、嫉妬、争い、苦悩、悲嘆、欠乏、後悔、疫病、その他、ありとあらゆる災いが溢れだしました。
慌てて蓋を閉めたものの、時すでに遅し。すべての災いは人間界に解き放たれてしまったんですね。
そして閉じられた箱の底には「希望」だけが残っていました。
・・・とこんなかんじで訳されていますが、実はこの「希望」については諸説あります。
パンドラの箱に残ったエルピス
お話では最後に「エルピス」が残ったとされていますが、このエルピスを「希望」という解釈をしだしたのは後年と言われていて、初期には「予兆」と訳されている場合もあり、どう訳すかによって考え方ががらっと変わってきます。
また現代では「箱」とされていますが、最古の記録には「壺(ピトス)」と書かれているなど、どこかの時代にアレンジが加えられているため、色んなバリエーションが存在します。
そのため「パンドラの箱」ではなく「パンドラの壺」なんて言われることもあったり。
いかんせんルネッサンス時代のことなので、今となってはどれが本当かは謎です。
なので「私はこう思う」「いや、きっとこういう意味で書かれたに違いない」など人それぞれ解釈が違って当然だと思いますが、それはそれで古代の人の考えに、それぞれの思いを馳せるのもロマンがあって良いのではないかと思います。
最後に残ったエルピスは希望なのか予兆なのか?
最後に残ったものは何なのか?
希望と訳した場合でも、予兆と訳した場合でも、それをポジティブにとらえるかネガティブにとらえるかによって、さらに細分化されていきます。
- 希望=ポジティブ派
あらゆる災いが世の中にあふれてしまったが、最後に唯一希望だけが人間の生きる望みとして残された。
- 希望=ネガティブ派
すべての災いは解き放たれたのに、最後の望みである希望は外に出られず箱のなかに取り残されてしまった。
- 予兆=ポジティブ派
予兆は、今後起こりうる全ての未来を予知してしまう能力で、場合によっては生きる希望をも奪う結果につながる。
この最悪なる「予知能力」だけでも外に出なかったことで人間は絶望せずに済み、希望を持って過ごせる。 - 予兆=ネガティブ派
予兆だけが取り残されたことで正確な未来を知ることが出来ない。
未来がわからないがゆえ、叶いもしない事にいつまでも希望を持ってしまうという不幸を与えられた。
いずれにせよ、パンドラに箱を持たせたのも、その箱をいずれ開けるであろうことも、全てはゼウスの思惑通りだったわけです。
それにしてもなんだか傲慢な感じのするやつですね、ゼウスって。
人間には何の非もないような気がするのですが、一体何の恨みがあってこんなことを。。。
パンドラの箱の意味と使い方
「パンドラの箱を開けてしまった」
「これはパンドラの箱かも知れない」
などといった例えをしますよね。
政治家による汚職、会社内での不正問題、など、なんとなく良くないであろうことは感づいているものの、あえて踏み込むととんでもないことになるといったときに使われたりします。
「触らぬ神に祟りなし」
「臭い物に蓋」
「見て見ぬふり」
的な意味合いでもよく使われますね。
本当はそこに問題があることはわかってるんだけど、そのことには触れずそっとしておいたほうが賢明、みたいな。
前章のギリシャ神話からはわかるのは「開けてはいけない箱」は開けない方がいいということです。
もちろん、どんな困難が待ち受けていようとも、挑戦するためにあえてパンドラの箱を開けてみるといった場合もあるでしょう。
そして、絶対に開けるなと言われれば余計に開けたくなるのが人間ってもんです。
こんなとき「あーこれもゼウスの策略か」と、つい考えてしまいます。
パンドラの箱のまとめ
なんだかゼウスをひどいやつみたいに言ってしまいましたが、そこはやはり神、なにか深い考があっての事だと信じたいものです。
あえて箱を開けるように仕向けたのも、人間に困難を乗り越える力を身につけさせようとしたのかもしれませんね。