恵方巻きの起源と無言で食べる理由とは?縁起がいいって本当?
2019/12/13
もともと関西では馴染みのあった節分の恵方巻き。
いつの間にか全国的になり「何だかよくわからないけど、とにかく縁起がいいらしいから食べる」という方も多いのではないでしょうか。
そもそも恵方巻きって、どういった理由で食べられるようになったんでしょう?
ここでは恵方巻きの起源、無言で食べる理由、なぜ縁起がいいのか、と言うことについて解説しています。
恵方巻きの起源は?
いまや国民的行事になった感のある節分の恵方巻き。
もともと関西が発祥の地と言われているだけに、関西人の私にとってこの「無言で丸ごと食べる」というのは当たり前の風習。
でも、昔この習慣を関東出身の人に話したところ「そんなの絶対ウソに決まってる、また担ごうとしてるでしょ!」と全く信じてもらえませんでした。
確かに冷静に考えてみれば変なんですが。。。
そんな関東人も、今ではミーアキャットのように全員同じ方向を向いて無言でムシャムシャ食べています。
恵方巻きの起源については諸説あります。
いろいろ言われるているわりに「その年の恵方に向いて無言で食べる」という行動のつながりに無理があり、どの説もあと付け的でいささか信憑性に欠けます。
恵方巻きの歴史年表
- 1932年(昭和7年)
大阪鮓商組合が発行した「節分の日に丸かぶり~恵方に向いて無言で~」というチラシが大阪歴史博物館に保管されており、この時代にすでに恵方巻きというものが1本20銭で販売されていた。
- 1939~1945年(昭和14~20年)
戦争まっただ中。
- 1949年(昭和24年)
それまでの土用の丑の日に鰻を食べる習慣に対抗して、戦前にあった海苔巻きを食べることを販売促進の一環として復活させた。
- 1973年(昭和48年)
大阪海苔問屋協同組合が「恵方に向って無言で家族そろって巻き寿司を丸かぶり~」という内容のチラシを海苔の納品時に寿司屋に配布した。
それにともない、百貨店も「2月3日幸運恵方巻き寿司売り出し」と宣伝して販売。 - 1977年(昭和52年)
大阪道頓堀で「海苔祭り」という海苔業界によるイベントが開催され、巻きずしの早食い競争なども行われた。
また節分に巻き寿司をまるかぶりする「幸運巻ずし」の販促活動を行い、それと同時に関西厚焼工業組合も同じような宣伝活動をおこない、どんどん恵方巻きの風習が広がっていった。 - 1989年(平成1年)
セブンイレブンが広島で販売開始
- 1998年(平成10年)
セブンイレブンが全国で販売開始
- 2003年(平成15年)
ファミリーマートが全国で販売開始
- 2008年(平成20年)
ミニストップが全国で販売開始
戦前から戦後にかけて、寿司に関わる人達ががなんとか寿司業界を盛り上げようと企画し、そこに同じく寿司関係の海苔の組合や厚焼きの組合が加わり、さらにイベント的な打ち出しを続けていったことでだんだん認知されてきたのでしょう。
そこに目をつけたコンビニ関係者が一部地域で売り出したところ反応がよく、それが徐々に全国に広がり、ここが勝機とばかりにおおきな宣伝活動を行ったことにより急速に広まり、今では知らない人がいないほど一般家庭にも浸透してきました。
恵方巻きを無言で食べる理由とは?
「無言参り」というのをご存知でしょうか。
京都祗園の花街に古くから伝わる風習の一つで、八坂神社と御旅所を、無言のまま誰とも言葉をかわさず7度往復してお参りすると願いが叶うというもの。
このように、「無言」というのは神事にはつきもので、お参りして手を合わす時も願い事は言葉には出さず心の中で唱えますよね。
恵方巻きも願い事を祈りながら食べるので、そのときは神妙な気持ちで、無駄口をたたかずに食べましょう。
でも1本食べ終わるまで無言であったり恵方を向き続ける必要はなく、お祈りが終わる一口二口で、そのあとはみんなでまた楽しく会話しながら最後まで食べきれれば大丈夫です。
恵方巻きは縁起がいい食べ物?
縁起に関してですが、巻き寿司自体が縁起がいい食べ物というわけではなく、恵方である歳神様の御在所に向いて食べることが縁起がいい行いとされてます。
もともと恵方巻きといった食べ物があるわけではなく、今年の恵方に向いて太巻きを食べるので、その太巻のことを恵方巻きと呼ぶようになったんです。
その切らない太巻きがだんだん進化してきて、今では節分前になると超豪華な太巻きなんかが予約販売されますね。
どう考えても一人では食べきれないようなものも中にはありますが、たとえ丸かぶりが困難でも、中に入っている具材や種類などが七福神とは何の関係もなくても、美味しければそのほうがいいですよね。
参考記事■恵方巻きの手作りは難しい!失敗例と復活方法。運勢やいかに!
■恵方巻きの保存方法。残ったらどうする?リメイクで美味しい一品に!
まとめ
いかがだったでしょうか。
今年の恵方を向く、無言で食べる、願い事をお祈りする、丸かぶりする、というのも考えてみればお寿司業界の販売戦略が大きく関係しているのかもしれません。
しかし、こういった行事というのはその時その時に伝えられる内容がいろいろ変化しながら伝承していくものです。
また、こういった背景もあることから、それほど格式張って考える必要もありません。
お口が小さい子供さんやお年寄りの方などがいるご家庭では細めのものにしたり、最後まで食べきれるように最初から半分に切っておくなどでも全然大丈夫です。
みんなでわいわい言いながら(最初だけは無言ですよ。)美味しいお寿司を食べ、そして楽しくその時間を過ごせればそれがなによりですね。